どこかで道を踏み外してしまい、またスマートウォッチを購入してしまった。それも、高価な2つの機種を。GARMIN の上位機種であるfenix 7 Pro と、Tactics 7 AMOLED である。時計にここまで投資するのは、お金の無駄と思っていたのだが、これは運命の出会いと思っている。
GARMINの時計は、Venu SQ という、いつも丸い画面のGARMINにしては、珍しい形である、スクエアタイプの液晶画面を持ったスマートウォッチであった。軽くて、正確に現在位置を測定でき、電池の持ちもそこそこ良いので、とても有効に使っていたが、母に譲ってしまった。
今回、なぜGARMINのスマートウォッチを購入したくなったかを忘れてしまったが、きっかけは、愛用していたPebbleのスマートウォッチが、とうとう使えなくなりそうになり、毎年会社で実施している年末期の、ウォーキング歩数カウントを報告できそうになったことが、きっかけであった。
ウォーキング歩数カウントは、3ヶ月間、毎日の歩数計のカウント数を記録して、最終的には1日の平均歩数を報告する行事であるのだが、Pebbleスマートウォッチのアプリの出来がよく、過去の履歴を簡単に遡れるので利用していた。しかし、AndroidのOSがバージョンアップすると、アプリが動かなくなる問題が発生した。もともPebbleのアプリは、Googleのアプリストアから結構前に削除されており、有志によってアプリが提供されていたのであるが、とうとうOSのレベルでPebbleが使えなくなりつつある。
そこで、Pebbleの代わりに歩数をカウントできるスマートウォッチを探すこととなった。とりあえず歩数が測れれば良いやと、FitbitのCharge6というブレスレットのようなスマートウォッチ、というかフィットネストラッカーを購入した。
しかしながら、人間は欲深き動物であり、ただ単にブレスレットのように装着して、自分の健康状態を把握するだけのスマートウォッチ、というかフィットネストラッカーを持つことは、私にとって苦痛の経験であった。そもそも時刻を読むのにも苦労して、ストップウォッチやタイマーを簡単に使うことができず、ストレスの種であった。
そしてスマートウォッチを巡る彷徨(ほうこう)が始まり、行き着いたのがGARMINの軍用を意識したスマートウォッチであった。私はもともと24時間時計やGMT時計に興味を持っており、実用性はともかく、ベゼルに24時間表示している時計が好きだった。
そして当初は、GARMIN Tactix 7 pro が欲しいと思ったのだが、その高価さに怯み、ほとんど機能が変わらず、価格が半分程度(気持ち的には)であった、fenix 7 Pro を購入した。この時計はすぐに私の心を掴んで離さず、それこそ24時間腕に着用していた。
しかし、色々とあり、結局は、Tacitx 7 AMOLED を購入してしまった。
左がfenix 7 Pro(以降fenix)、右がTactix 7 AMOLED(以降Tactix LED)。画面の大きさが、fenixが1.3インチ、Tactix LEDが1.4インチ。表示方式は、fenixがMIPと呼ばれる反射光により表示が見える液晶のような仕組み、Tactix LEDは有機EL。画面の大きさもさることながら、明るさ、発色の違いもかなりあった。個人的に、fenixのMIPは、Pebbleの電子ペーパー方式の表示に似ており、渋い発色が好きであるが、一瞥して時刻を把握するのが難しく、特に暗い場所で文字盤を認識するのには、バックライト点灯によるラグが生じた。
しかし、fenixは、デフォルトが常時表示であることに対し、Tactix LED は、消費電力の関係から、デフォルト設定では、一定時間経過すると画面が消灯する設定である。これは大きな違いである。私は、スマートウォッチを、アナログの時計と同じく視認性に重きを置いて選別しているので、表示が著しく変わったり、画面が消えてしまうスマートウォッチはダメだと思う。なので私は、Tactix LEDの設定を、迷わず常時表示にした上で、電池持ちを評価している。
この際、注目ポイントは、常時表示設定を行ったLED表示において、省電力時に、文字盤がどの程度まで簡素化されるかである。ひどい文字盤になると、容赦無く表示項目が削減されて、原型を留めない形式になるのだが、私が選択した、「TOX」と呼ばれるウォッチフェイスは素晴らしく、秒表示のみがなくなり、全体的に表示が暗くなるのみの変化であった。
この画像は、常時表示モードで時間が経った後の文字盤で、なおかつ、私の毛だらけの腕に時計をはめて状態を撮影している。私の手首は、それほど太くはない。fenix の47mmベゼルが、私の手首にちょうどよく、52mmのTactix LED は、明らかに違和感があるレベルの大きさである。これはまるで、潜水士が腕につける水深計、パラシュート降下する人が腕につける高度計など、明らかに「道具感」が漂っている。とてもカッコ良いのだが、必要以上に自己主張しないかと心配になる。
私がこの写真で言いたかったことは、もう一つのことで、やはり画面の明るさが、Tactix LED圧勝、ということである。fenixで気になっていた点をあからさまに露呈させ、圧倒的な視認性の差を見せつけられて、AMOLED の優位性を感じた。スマートフォンにおいても、AppleのiPhone、GoogleのPixelなど、名だたるメーカーのスマートフォンが、AMOLEDをデフォルトのディスプレイにしたが、美しい画面を目指すと、現時点ではAMOLEDが強いと実感した。
画面の大きさに加え、解像度の違いが、表示方式に少し変化を与えている。Tactix LEDは表示できる情報量が多くなり、これも優位性が高い。最近煩わしくなり、メール通知をスマートウォッチに送るのをやめてしまっていたが、表示域が広がったら、メールを読むのも楽になるであろう。
ファンクションの切り替えにおいて、Tactix LED は、fenix と比べ1テンポ遅れることに気づいた。ストレスになるほどではないのだが、少し気になる。これは、タッチパネル操作、ボタン操作ともに同様であった。
心拍計の世代は同じ。ベルト幅はfenix 7 Pro (47mm)で22mm、Tactixで26mm 。このサイズ感は、ダイバーズウォッチの特定のクラスでしかお目にかかれないほど、太いサイズである。肌にあたるところはチタンかサファイアグラスなので、金属アレルギーをお持ちの方でも肌に優しいかもしれない。ベルトは、シリコンベルトであるが、時々肌が痒くなるベルトと遭遇することがあるが、GARMINのベルトはいい感じだ。ベルトのデザインは微妙に変化している。アスリートの支持を得ているGARMINの製品は、着用感に関して、ユーザーからのフィードバックをきっちりと製品に反映させているものと解釈した。
Tactix LED の存在感を増すもう一つの要因は、ケースの厚みである。fenix 7 Pro の47mmサイズが、ビジネス含めた日常レベルで着用する、ギリギリのサイズではなかろうか。Tactixは、道具としての存在感が強い。私にとってのスマートウォッチは、時間を知る道具であり、自分の心拍数や、今受けているストレス状態を把握する健康器具であり、通知をタイムリーに受けるための情報機器である。そして私は、老眼なるものを体験して驚いている中年であるので、表示機能が大きく、見やすいのは最大のメリットである。
最後にベルトの考察を。Tactixシリーズには、ナイロンベルトとシリコンベルトが付属しており、デフォルトはナイロンベルトである。私がもし、アウトドアを主な活動の場としていたら、迷わずナイロンベルトのままで腕に装着していたであろうが、現在はシリコンベルトに変えている。ナイロンベルトは、耐熱性や、耐摩耗性に優れて、アウトドアでベルトを切らさないためには必要であろう。仮に、タクティカルな仕事をしている方なら、火器を多用するであろうし、ベルトがさまざまなストレスを受けることもあると思うので、ナイロンベルトの方が良いと思った。私もナイロンベルトを使いたかったが、あまりにも見た目がゴツゴツになることや、デスクワークでキーボードを叩いている時に、手首が机に当たる感覚に違和感があったので、シリコンベルトに付け替えた。
個人的に、ナイロンベルトをガチで利用する際には、もう少し長いタイプがあったほうが良かった。肌に直接触れて、心拍を測定する機能が発揮できないまでも、服の上から着用できるような仕組みがあっても良かった。とはいえ、当面はfenix 7 Pro、Tactix 7 AMOLED を併用しながら、それぞれの特徴を楽しむことであろう。