1年前の2023年2月に、森永卓郎さんのB宝館に訪問した。氏の著書『「マイクロ農業」のすすめ』に書かれていた、個人的所蔵物を陳列した建物を訪問するため、月に一度しか開館していない場所に、ピンポイントでスケジュールを立てた。
スケジュールはなかなか合わなかったが、幸いに昨年の2023年2月に訪問することができた。埼玉県所沢市、新所沢駅から歩き、住宅地の中にひっそりと立っているビルディングに、なんともチープな看板が立っていた。この時は、コアなファンか物好きしか訪問していなかったと思うが、たまたまこの日に森永卓郎さんの息子で経済評論家である、森永康平さんがこの地を訪問することがSNSでPRされていたので、混雑も予測された。
私が訪問したのは午前で、森永卓郎さんはおられたが、森永康平さんは、午後に訪問したとのことだった。午前は、ネットメディアの記者が森永卓郎さんにベッタリと取材しており、氏の後ろ姿しか追うことはできなかったものの、ライザップ後に順調に体重を戻した氏の姿と、ライザップの看板に使われた氏の引き締まった写真とのコントラストが面白かった。
館内は圧巻の陳列物で、私も大量に接し、消費し、捨てていた物たちが、綺麗に陳列されていた。空き缶、空き瓶、ミニカー、箸入れ、菓子のおまけなど、本当に物持ちの良い方だと思った。1階、2階ともに所狭しと陳列されていた物たちは、とても誇らしげであった。
この日に備えて、実は、色紙を2枚購入していた。森永さんがおもむろにテーブルについて、サイン会が開催された。私は自分の分と、母親の分を渡して、サインを書いてもらった。「素敵な愛を」。シンプルなメッセージでありながら、森永卓郎さんの内面を表すサインであった。
サインは、思いの外、母親が喜んで、翌月に、母親もB宝館を訪れた。森永卓郎さんと記念写真を撮影してもらった映像を、ラインで送ってもらった。サインは今でも実家に飾ってある。
そして森永卓郎さんは2023年の12月に突然、膵臓がんの治療を開始する旨のニュースが流れ、私の母は、2024年の1月に血管内リンパ腫が判明して治療を受けている。1年前は想像しようもなかった、数奇な関連性であった。