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親の入院とトラベルプロのトロリーとジョージ・クルーニー

親の入院への差し入れのため、突然帰省する必要が生じた。久しぶりにトラベルプロのキャビントロリーを持ち出して、頼まれた荷物を運搬する。このトロリーは、アメリカの通販で購入した、キャビンクルー仕様のもので、通常は一般人には売っていないらしい。シンプルなデザインと、強化され頑健になっていることが、とても気に入っている。

トラベルプロ(Travelpro)を知ったのは、ジョージ・クルーニーが主演の映画、「マイレージ、マイライフ」に出てきた、シンプルでクールなキャビントロリーがきっかけである。年間322日も出張する「リストラ宣告人」である主人公が、飛行機とレンタカーを駆使しながら携行するケースは、トラベルプロのキャピントロリーのみ。預け入れ荷物を持たない長期出張スタイルは、元祖ミニマリストといった感じである。

私のキャビントロリーは、見落としていたのだがおそらく機内持ち込みではギリギリか、航空会社によっては持ち込めないサイズのものであった。長らく海外に行っていなかったので諸々の感性が鈍っていた故のミスであったが、よく考えると、飛行機を使って移動する機会がほとんどなくなったので、これでいいやと考えているし、大容量でもスムースに転がせる車輪や、エスカレーターや電車の中でも勝手に転がっていかない、2輪の仕組みも気に入っている。

通常、私が陸上を移動する際には、リュックに荷物を詰めて行うのだが、近頃の私の体力は、下落の一途を辿っており、重いものを長時間持ち運ぶと、翌日以降の身体へのダメージがキツくなってきていた。トロリーは雑踏の中を持ち歩くには煩わしく、移動速度も下がるので、トロリーを転がすことは避けてきたのだが、最近はやむを得ない。

親とは面会できない。感染症をシビアにコントロールしている、ポストコロナ時代の一般常識にどまどいを持ちながらも、この先姿を見られないかもという寒い予感を覚えながら、電子機器を通して感情のやり取りを行っている。

ジョージ・クルーニーが主演の映画、「マイレージ、マイライフ」においては、自由を謳歌して独身を貫いていた主人公が、運命の人に出会って身を固める決意をするのだが、意外な展開が開けるところで、この映画の魅力が薄らぐ。それはまるで、独身を貫いていた超人気のシンガーソングライターが、結婚した後の周囲の反応に似ているのかもしれない。

このトラベルプロのキャビントロリーには、外側にポケットが多くあるのがとても良い。表側に加えて、裏側、つまり取っ手を収納する方の面にも、畳んだ新聞が入る程度のスペースがあるのが非常に便利だ。旅の移動中に、あらゆることをしたい人にはぴったりである。

そしてキャビントロリーを転がすシチュエーションは、さまざまな、人生の大きなイベントを経験することが多いのであった。

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