TRIBLOG

「スマホ断ち」と断酒との関係

なかなか面白い本と出会った。スマホ断ち、キャサリン・プライス、角川新書、税別900円。

私もスマートフォンを四六時中触っている人種であり、スマートフォン無しでは落ち着けない人なのであるが、改めてここ10年間くらいを考えて見ると、スマートフォンは適度な付き合い方が必要だと感じている。

本書は、スマートフォンが脳に与える影響や、そもそもスマートフォンは中毒性をユーザーに与えるべく設計されていることを説いており、これも良く目にする言葉であるが、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツは子どもにスマートフォンを与えていなかったというエピソードを交え、スマートフォンとは適度な付き合いが必要で、適度な付き合いを1ヶ月の訓練で達成するためのプログラムを提供している。

この本を読んで思ったことは、いわゆる「スマホ中毒」は、パチンコ中毒、アルコール中毒、麻薬中毒と同類の中毒症状であり、脳へのダメージは相当あるということ。

振り返るとスマートフォンを四六時中操作していると、睡眠時間が削られているし、集中力が継続しないし、情報を大量に取り入れていながら知識に昇華できていないことを感じている。スマートフォンは、ライフスタイルを豊かにしているようで、実は精神の退化を促進している可能性がある。

今こうして、スマートフォンに向かってブログを書いている最中にも、集中を阻害する通知や、物理キーボードを久しぶりに接続したときの、Androidとの相性の悪さや、別のアプリへの興味など、文章を書くという行為を遮断する数々のイベントが発生した。

「スマホ断ち」は、スマートフォンにより後退した私の精神や知性を、少しでも向上させようとする施策を提案してくれる。

スマートフォンをほどほどに使用できるようになるためのプログラムは、アルコール依存症のひとが、ほどほどにアルコールをたしなめるようになるようなプログラムに、似ているような気がする。私はアルコール依存症のプログラムを受けたことがないが、対象物と距離を置き、内省の時間を設けるなどの、自己と向き合う時間を持つことや、スマートフォンを使う時間を、そのほかの創造的な時間に利用することなど、マインドを変える方法が提案されている。

今の私には、スマートフォンを断つことも、酒を断つこともできないのであるが、本書を契機に、程々なつき合いができるような心構えを身につけたいと思った。

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