TRIBLOG

新幹線の振動と技術立国の未来

最近、東海道新幹線の車両において、振動が目立つようになったと。N700系の新しい機種から、目立ち始めた。以前はこんなこと無かったのに、新幹線の車内でノートに書きものをするにも厳しくなった。

新幹線は、年々軽量化が進み、省エネ運転できているのであろう。客室内も快適になった印象だが、以前から振動が大変気になっていた。N700系の、ここ3年ほど前からか。新幹線内の簡易テーブルに、ペットボトルのお茶を置いた時にとても気になったのが記憶にある。

勿論、安全性にほ支障ないのであろう。この振動をもってして、技術立国の技術力が低下したと言うわけではないが、過度のコストダウン、過度の環境に優しい技術が、トータルで快適な移動を妨げている可能性も感じた。

ちなみに、50年以上は車両を更新していないのではと疑ってしまう、某田舎町のローカル電車は、車体の一部が鋳造部品で作られており、サスペンションもヘタっている感じで、線路をガタガタ言わせながら、縦揺れして走る。これはこれで、スリルを感じる。

私も、仕事で技術に関与してきたので、技術についての色々な考察や反省がある。中でも、技術継承や、これにかける時間は、年々取れなくなった。新人は最初の数年は先輩の補助をしながら仕事を覚え、じっくりと技術を身に着けてきたが、今は即戦力である。かと言って失敗に寛容ではなく、人員も年々減らされてきた。

ネットの発展は、現場よりもバーチャル世界が技術の主戦場になり、現場に行かず現場を管理する事が良いこととなりつつある。私はとにかく現場で現物を触りながら、現実を掴むトレーニングを行ってきたので、パソコンのディスプレイのみで完結する技術体系には、とても馴染めない。人材育成も、現場でのオン・ザ・ジョブ・トレーニングの仕組みで行なってきたが、最近は、いかに素人でも、それなりに仕事ができるマニュアル作りを求められる。

私も、DXなるトレンドの波に乗れないと、行う仕事がなくたってしまうのであろうが、デジタルの有効性を理解しつつ、取り残されたアナログにも、残す価値のあるものは多いと考えており、何十年も前に残された紙のファイル類を機械的に廃棄する際には、少し心が傷んだ。

紙のファイルには全体像の把握を行なうに最適であり、パラパラとページをめくるだけで、過去の履歴を把握出来る。一方で、特定の情報を検索するには不向きで、ファイルが沢山あるほど、検索時間が膨大になる。

新幹線が初めて日本を疾走した時代には、新幹線の設計者は、紙に設計図を書いていたであろう。マニュアル類も紙で、人づてで伝承していたであろう。メインテナンスも、先輩から後輩へのオン・ザ・ジョブ・トレーニングで濃密に行っていたであろう。昔に戻るのが正しいと言うつもりはなく、単なるノスタルジーなのだと思うが、アナログにも、捨てずに残しておくべきモノがある。

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