私がシステムダイアリーの使用をやめたのは、あまりにも実物を販売している店舗が減りすぎたからである。しかし、東京駅近くの丸善には、今でもシステムダイアリーが販売されていた。そして2024年の今となって、システムダイアリーをもう一度使おうと決心した。約15年ぶりのシステム再開である。

新しいフォーマットの手帳を導入することは、非常に慎重にならざるを得ないことを、過去の数多くの失敗から学んでいた。システム手帳だけでも、30年以上前に最初に購入したシステムダイアリー(本品)や、6穴のバイブルサイズ、A5サイズ、フランクリンプランナーの2種類のサイズ(6穴と、もう一回り小さいサイズ)、ミニ6穴など。システムダイアリーは、実売する店舗が激減してからは、ほとんど手を出せずにいた。リフィルの供給能力が、持続性を左右するからである。

しかし私は、システムダイアリーの魅力を再認識して、もう一度、よく考えられたリフィル群を使いたくなった。勢い余り、バインダーを3冊、リフィルを多数、保管箱1つを購入して、システムダイアリーのシステムを再起動した。

システムダイアリーの良さは、リフィルの一枚一枚が、データシートとなって運用できることである。今はほとんどのカードが、デジタルに取って代わられたと思うが、昔のデータは、1件1葉のカードで管理されていた。顧客の管理カードや、図書館における本のカードなど、カードを箱に入れ、整理することで、情報を一元管理する仕組みが、長い間運用されていた。

システムダイアリーの「文化」のようなものを象徴するグッズが、カード入れの箱であり、バインダーに収まり切れないリフィルは、カード入れに入れることで、データベースのデータシートとして機能する。このようなシステム形態をとっているシステム手帳は、システムダイアリー以外には少ない。スケジュール帳を別の保管しておくシステムは、フランクリンプランナーにもあるが、自分が記入したノートやデータ類を、有効に活用するためのハードウェアはほとんど無い。

今のご時世では、記録したノートをデジタルに変換して活用する仕組みが出来上がっているものの、アナログなデータ運用の、直感的な使用感覚は、使っていて気持ちが良い。デジタルにすると雲の中に隠れてしまうような感覚にとらわれるが、リフィルというカードを箱に入れておくと、視覚的にデータの所在やボリューム感がわかるのが良い。

ノートを整理して、並べ替えたり、再度読み返したりしながら、バインダーや、箱に情報を整理していく。この過程で情報が頭にインプットされやすくなり、再度情報を活用する際には、データに素早くアクセスできる。

私は何度も、デジタルによるデータベース管理を失敗してきた。主には、プラットフォームが消滅した事象が多く関わってきた。記憶にある限り最初の挫折は、シャープのザウルスに住所録を作成したとき。ザウルスなるデバイスは、まだ生き残っているのかわからない。パソコンのデータベースは、Lotusのオーガナイザーというソフトウェアで、スケジュールの補完を試みたものの、これも潰れてしまい、データベースソフトは「超漢字」のハイパーテキスト的な構成で情報を一元管理しようとしたものの上手くいかず、クラウド式のデータ管理は、ゾウのマークのEvernoteで管理してみようと思ったが、サブスクの誘いが多すぎてほとんど使わなくなった。現在はマイクロソフトのOneNoteに情報を集約しようとしている。要は、デジタルによるデータベース管理には、プラットフォームの存続に脅かされることが多いので、持続可能性が低いのだ。

一方で、システムダイアリーに記載したスケジュール記録は、私が残している限り、24年前、2000年の記録が今でもPDFで読むことができる。この年は、初めての子どもが誕生した年であり、当時の記録を読むと、4時41分に子どもが生まれ、その時の体重が2520グラムであることが残されていた。この頃はシステムダイアリーをフル活用しており、システムダイアリーのリフィルは、名古屋駅の駅ビル内で購入することができた。おそらく今は、販売されていないであろう。

私がいまだにアナログ的な記録形式を手放せないのは、紙に記録したものは、おそらく私が息絶えた後も残り続けるであろうが、デジタルは、持続的に残すのが難しいことを体感しているからである。

本ブログは、私が出来心で始めることとなった、サーバーのレンタルとドメイン名の取得によりスタートした。それまでは、ニフティーサーブなるパソコン通信から提供されていた、ホームページ用スペースの活用を1996年から10年ほど続けていた。そこでは、今でいうブログのような形態で、毎日のようにメッセージや、読書感想文を投稿していた。この記録は、サーバーの中身とローカルPCの中身ごと消失させてしまったが、今まで継続していたら、多少の広告収入くらいは稼げたであろうと少し後悔している。

本ブログも、月に千円強のレンタル料を払えなくなったり、ドメインを管理する会社が潰れて継承されなかったら、簡単にbanされてしまうのであろうか。YouTubeのプラットフォームにおいても、YouTubeのポリシーに反する投稿を続けると、3アウトでbanされ、過去の資産が一瞬にして吹っ飛んでしまう。とにかく、デジタルは脆弱なのだ。デジタルタトゥーなる言葉も、いくらデジタルの拡散や保存が多層的に行われたとしても、消えてしまうタトゥーは数多くあるのだと思う。

今後ありとあらゆるデジタル機器が、一瞬にして無力化されることも可能性としてありえる訳だし、世界的なハッキングや、ウィルス感染等により、デジタルデータが一瞬にして溶けるリスクはあると思う。そんな中、私はアナログへの回帰を少しずつ進めているのであった。

投稿者 junjitee

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